1.創薬開発プラットフォーム事業
私たちは、分子の動きを捉える独自技術、CHEmir(読み:ケムミル、AI×分析化学技術(特許技術))、MAGmir(読み:マグミル、NMR(*1)解析技術)と臨床医を含む14名の科学顧問陣(TEAmir(読み:チームミル))による高度な専門知見を基盤に、創薬プロセス全体の課題解決を目指す創薬プラットフォーム事業を展開しています。各段階で生じる本質的な課題に対し、技術と知見を融合させてアプローチすることで、創薬の効率化と新薬開発の可能性拡大に挑戦しています。
本プラットフォームの特長は、以下の点にあります。
①Undruggableとされてきた標的への全く新しいアプローチ
従来の技術では、形が固定されない「動く」分子の構造を十分に解析することができず、その結果、創薬標的として扱うことが困難でした。モルミルは、その「動く」分子を解析し、動的な構造の評価を可能にすることで、これまで成果が得られなかった領域において、新たな治療薬を探索できます。
②生体に近い状態でのダイナミクスの解析
X線結晶構造解析など結晶化が必須の技術では解析対象が限られていました。モルミルの技術は、結晶化が困難なタンパク質についても、生理的状態のまま構造およびダイナミクスの解析を可能にします。
③モダリティに縛られない創薬
モルミルの創薬プラットフォームは、特定のモダリティ(低分子、ペプチド、抗体、核酸など)を前提としません。「動く」分子の構造を深く理解したうえで、最適なモダリティでの創薬開発が可能です。
この創薬プラットフォームを基盤とし、治療薬開発および診断薬・バイオマーカーの開発の両輪で、革新的な医療の創出を目指します。現在、筋萎縮性側索硬化症(ALS)(*2)に対するスクリーニング系を既に立ち上げ、プラットフォームの実用性を具体的な創薬テーマで実証しています。
2.自社パイプライン事業
CHEmirとMAGmirを活用し、神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象に独自の創薬プログラムを推進しています。
また、弊社はアカデミア発シーズの社会実装に取り組んでいます。現在、奈良県立医科大学発の後天性フォンヴィレブランド症候群(AVWS)(*3)治療薬の開発支援を実施しており、具体的には、MAGmirを用いた抗体の作用機序解明、CHEmirを活用したバイオマーカー開発、そして医師主導臨床試験(Phase1)準備を進めています。
これらのパイプライン候補により、技術を実証しつつ、新薬の特許化・ライセンスアウトを目指します。
(*1) NMRは、Nuclear Magnetic Resonanceの略。磁場中に置いた物質の原子核が自転し、電磁波に応答する性質を利用して、分子の構造や性質、運動状態を調べる分析手法。溶液中における生体分子を原子分解能で観察することができる。
(*2) 筋萎縮性側索硬化症(ALS) 筋肉が萎縮し、力が弱くなっていく病気。筋肉そのものではなく、筋肉を動かし、運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が障害を受ける。これにより筋肉を動かす命令が伝わらなくなることで、筋肉が痩せていく。
(*3) AVWSは、血液凝固に重要なフォン・ヴィレブランド因子が後天的に減少または機能低下することで生じる、まれな出血性の病態。とくに、体外循環補助装置(人工心肺や心臓補助装置など)を使用する際には、機械的な血流の影響により本症が発症しやすいことが知られている。また高齢化の進行に伴い、心不全や心臓手術などでこれらの補助循環機器を使用する患者が増加しており、AVWS の臨床的重要性は今後さらに高まると考えられている。
